サン工業株式会社

めっきQ&A

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亜鉛めっき 三価クロメートの色調

  • 亜鉛メッキ

 亜鉛めっきは特に鉄素材に対して、自己犠牲皮膜(素材よりも皮膜が優先的に腐食することで、素材の腐食を防止する特性)になり高い耐食性を付与することができます。また、亜鉛めっき後に「クロメート処理」を行うことで、亜鉛表面の耐食性を高めることで、さらに強いさび止めの効果を発揮します。

 亜鉛めっきのクロメートは、100年以上前から存在する処理で、当時は六価クロムを使用して、外観や耐食性の観点から大きく4種類(ユニクロメート、有色クロメート、黒色クロメート、グリーンクロメート)が実用化されていましたが、2000年代になりRoHs指令などの環境規制から、三価クロムを用いたクロメートに変更されてきており、ユニクロメートは三価ユニクロメート(「ユニ」とは均一な外観の、という意味)、有色クロメートはユニクロとほぼ同じ外観ではあるものの、より耐食性を高めた三価有色クロメートに、六価黒色クロメートは三価黒色クロメートに切り替わっていきました。グリーンクロメートは非常に高い耐食性があり、三価クロム系の化成処理ではその耐食性が実現できないことから、現在は亜鉛ニッケル合金めっきの三価クロメートに切り替わるケースが増えています。

 さて、このような経緯で三価クロムベースのクロメートに切り替わってきていますので、三価有色クロメートはユニクロメートと同様の青みのある外観にも関わらず、「有色」と呼んで識別しています。ただ、自動車部品などでユニクロメートと有色クロメートを識別する必要のある処理の場合には、処理条件を変更することで、従来の有色クロメートの玉虫色までは行きませんが、黄色~赤紫の外観にすることも可能です。下の写真はクロメートの処理時間を通常時間~+60秒まで伸ばして処理を行ったものの外観になりますが、処理時間を長くすることで、色調を変化させることができるのがお分かりいただけると思います。

 三価有色クロメートの外観について、大きい製品を処理した場合など、製品の端の方がやや黄色みを帯びてしまうのは、クロメート処理槽から製品を引き上げる際に、液の溜まりやすい部分が結果としてクロメート液との反応時間がわずかに伸びたような状況になってしまうと考えられます。

※六価クロムベースのユニクロメートは耐食性が低かったですが、現在の三価クロムベースのユニクロメートは有色クロメートに近い耐食性を示します。

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