潤滑性と離型性に優れためっき(PTFE複合無電解ニッケルめっき)
- 無電解メッキ
PTFE複合無電解ニッケルめっきは、無電解ニッケルめっきの皮膜中にテフロン(PTFE)の微粒子を分散複合させためっきです。
無電解ニッケルめっきの特徴に加えて、PTFEの特性である滑り性、摺動性、撥水性、離型性に優れています。特にピストンやプランジャーのように耐磨耗性と滑り性が要求される部品に効果を発揮します。
サン工業ではPTFE複合無電解ニッケルめっきを2種類行っています。
社内では高含有(PTFE20vol%)をニコジット処理、低含有(PTFE3~7vol%)をカニフロンBと呼んでいますが、今回は高含有のニコジット処理をご案内します。
ニコジット処理の特徴(PTFE20vol%)
1.摩擦係数が小さく、摺動性に優れる。
2.非粘着性を示し、離型性に優れる。
3.撥水性、撥油性に優れる。
4.鉛化合物およびPFOS化合物を使用していないため、RoHS指令やPFOS規制などの環境規制に対応可能。
5.フッ素樹脂コーティングに比べて、皮膜硬度が高い。
※フッ素樹脂コーティングは鉛筆硬度F~H程度(Hv50以下)に対して、ニコジットはHv350~600と硬度が高く、耐摩耗性やキズがつきにくい。
6.耐熱性が320℃と非常に高い。(フッ素樹脂コーティングは260℃程度)
想定される用途・導入メリット
1.離型性・撥水性が求められる成形金型や搬送部品に最適
⇒PTFE粒子の複合化により、樹脂・ゴム・粘着物の付着を防止。清掃頻度を低減。
2.耐摩耗性と低摩耗性で摺動部品の寿命を延長
⇒熱処理により最大Hv500以上の硬度を確保し、摩擦係数は0.10以下。潤滑不要の環境にも対応。
3.複雑形状や精密部品にも均一成膜が可能
⇒無電解めっきの特性により、治具不要で均一な膜厚を実現。寸法精度を維持。
4.耐薬品性・耐食性に優れ、化学・医療・食品分野でも活用可能
⇒皮膜が酸・アルカリに強く、腐食環境下でも安定した性能を発揮。
ニコジット処理の性能
ニコジット対応可能サイズおよび材質について
1.対応可能サイズ ⇒
ニコジット処理:500㎜x200㎜x500㎜
カニフロンB:700㎜x300㎜x700㎜
2.対応可能材質 ⇒ 鉄、ステンレス、銅、アルミ他

