エトナ山の美しいシルエットに魅せられ、もう一度その優雅な山容と再会したくてシチリア島のタオルミーナまで来てしまいました。

初日の朝は、予想もしなかった雨模様にエトナ山の姿を見ることが出来ませんでしたので、芯から落胆したのは云うまでもありません。それでも、お昼に紀元前3世紀に建造されたシチリア第二の古代劇場である「ギリシャ劇場」を見学する頃には、その美しいシェイプを望むことができるようになりました。しかし山頂には相変わらず雲がかかっており、ヤキモキしながらの一日となりました。

しかし、その日の夕刻には山頂の雲も流れ去り、文字通り美しいシルエットとしてホテルの部屋からその優美な姿と再会することが出来たのです。何故こうも魅せられるのか不思議ですが、やはり海からつづく一筆書きのデッサンから形作られたような優雅な曲線美がエトナ山に惹きつけられる最大の要因なのでしょう。

美しい海岸線とエトナ山を背景に造られたギリシャ劇場に佇んでいると、古代の香りと当時の人々が音楽や芝居に夢中になった熱気が伝わってきました。こうした素晴らしいロケーションの地にこうした劇場を造った当時の人々の感性と文化を享受しようとした情熱がローマ時代の繁栄をもたらしたことが容易に理解出来たのです。