今は疲弊した日本企業再生の矢面（やおもて）に立たされている感のあるJALですが、高度成長時代には戦後の日本の復興を内外にアピールする日本を代表するフラッグシップの企業でした。

最近、何気なしにBSを観ていると懐かしいJALの「JET STREAM」のDVD通販のコマーシャルが流れているのに目が止まりました。
懐かしいアノ調べに導かれるように振り返ってみるとTOKYO FMでの放送開始は1967年とのことですので、40年以上近く続いている日本を代表するFM番組なのでした。

私が都会に憬れていた多感な時代、親元から離れ自由を謳歌すべく環境が整ったにもかかわらず、日付が変わる頃、東京の片隅でひとり淋しく耳を傾けたのはこの「JET STREAM」だったのです。
日本が確実に成長している事、先進国の仲間入りを果たせている事を実感させてくれたのは、政治家の言葉でも無く、経済評論家の言葉でも無く、JALの「JET STRAM」の城達也のナレーションであったような気がいたします。
オープニングの「ミスターロンリー」の出だしのフレーズに触れただけで、一瞬のうちに世界に羽ばたくJALワールドにワープしてしまうほど陶酔した良き時代を想い出します。

「遠い地平線が消えてふかぶかとした夜の闇に心を休める時はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流はたゆみない宇宙の営みを告げています。満天の星をいただくはてしない光の海をゆたかに流れゆく風に心を開けばきらめく星座の物語も聞こえてくる夜の静寂の、何と饒舌なことでしょうか。光と影の境に消えていったはるかな地平線も瞼に浮かんでまいります。皆様の夜間飛行のお伴をいたしますパイロットは・・・私、城 達也です。・・・夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは遠ざかるにつれ次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。お送りしております、この音楽が美しく、あなたの夢に、溶け込んでいきますように・・・」

この一日の疲れを癒すナレーションを聴きながら、明日も又頑張ろう！・・が、当たり前の時代でありました。
戦後の「モーレツ」社会の中にあって、体は疲れきっていても、明日の希望があったから何もない四畳半のアパートからでも、元気に会社や学校に行けた時代であったのです。

日本という国が疲弊している今、JALの今の姿こそ現在の日本を象徴しているような気がいたします。
政治を司る方々に再認識していただきたいのは、正（まさ）しく過去のJALが背負ってきたのは日本と言う国の誇りの代表であり、それを正しく海外にアピールしてもらいが為の国家政策企業であったはずであります。それがどこかで、日本が目指す道を踏み外してしまい、正に保身に走る公務員の集団になってしまっていたのでしょう。
一国民としてあのJALのナレーションを聴く度に、世界に羽ばたく日本人としての誇りを持とうとしたあの時代の初心に帰れるような素晴らしい文化を築いてきたJALですので、そうした日本国の企業としてしか成し遂げれない誇りあるJALにもう一度立ち戻ってくれる事、又日本と言う国であってほしいとの念を感じざるを得ません。

でも、個人的にはANAのほうが好きだし、複雑な心境だなぁ。