わたしは工芸品に強い関心をもっています。それは、美術品は欲しいのですが高価であるがゆえに手元に置くことが出来ないからです。
しかし、日常使う用品に「用の美」があれば、それは日常生活に潤いと豊かさを与えてくれます。ですから私は雑貨店やそうした品々を扱うお店に行ったり、新しいお店を発見するのが大好きなのです。その結果、安価であってもお気に入りのデザインや手になじむ器などと出会ったときはとても幸せな気持ちになることが出来ます。

では、そういった工芸品の頂点を極めた作品や作家はどのような人がいるのか、今まではとても遠い存在でしたので気にも留めずにいましたが、今回東京国立博物館で「人間国宝展」が開催されていることを知り、頂点を極めた作品と作家を知ることは、これからの工芸品とのお付き合いの中でとても大切な座標軸が出来るのではないかと思い、足を運ぶことにしました。
驚いたのは、こんなマイナーであろう展示会にあまり観覧する人はいないのではないかと思って出向いたところ、会場は人・人・人で（まぁ～当然ですが、おじんとおばん・・私も含め）埋まっていたことです。

面白かったのは、古典の名品と、現代において高く評価されている人間国宝の作品とが同じ会場で展覧することが出来る展示になっていて「伝統」とは何かということを考えさせられたからだ。
「伝統」と「伝承」、「造る人」と「使う人」、「変わってはいけないもの」と「変わらなければいけないもの」。それぞれ時代が変わっても底流に流れる真理を求め、己の技術を極めていこうとする人たちの戦いの歴史がそこにはありました。

また、隣接して開催されていたクリーブランド美術館展ではなんと！あのアンリ・ルソーの「トラとバッファローの戦い」が展示されていたではありませんか！実物が見れてとってもラッキーでした。こうした幸運に巡り合えたりするから美術館めぐりはやめられませんね。