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「無電解めっき」初級編

【第13回】「自己触媒めっき」っていうのは?

無電解めっきの初歩について河合さんに聞くシリーズの3回目。前回は、電気を使わないめっきの一つ、「置換めっき」の仕組を教えてもらいました。それで、河合さん! 電気を使わないめっきにはその他にも「自己触媒めっき」っていうのがあるということだったよね? それはどういう仕組みでめっきができるの?

「置換めっきでは、めっきされる金属―前回の説明では鉄でしたよね―が水溶液の中に溶け出して、その時放出される電子が水溶液中の金属イオン―前回は銅イオンでしたよね―とくっついて還元するのでした。今日説明する自己触媒めっきの場合には、めっきするものを浸す溶液の中に還元剤というものを加えておきます。この還元剤が、ある触媒があると、その働きで酸化される。この時に放出される電子と、溶液中の金属イオンがくっついて金属が析出するのです。

 

自己触媒めっきの概念図

図解:自己触媒めっきの概念図

え?え?、もう少し分かりやすく説明してよ。

「例えばニッケルめっきの場合ですと、溶液中にニッケルイオンを含ませておいて、これに還元剤として次亜りん酸を加えています。次亜りん酸は、例えば鉄などの触媒になる金属があると、酸化されて亜りん酸になるんです。酸化というのは酸素原子がくっつくことですが、この時に溶液中に電子が放出されます。この放出された電子と、溶液中にあらかじめ含ませておいたニッケルイオンが結合して、金属ニッケルが析出するんです。しかも、金属に還元したニッケルも次亜りん酸を酸化させる触媒の働きをしますから、どんどんと継続的に、溶液中のニッケルイオンがなくなるまで、ニッケルめっきができるというわけです」

う~ん……ホント、化学っぽい話しだなぁ。頭が痛くなってきちゃった(笑)。要するに前回説明してもらった置換めっきとは違って、この自己触媒めっきというのは、めっきとして付けたい金属―今度の場合はニッケルね―をイオン状態で溶液中に含ませておいて、これにさらに還元剤というものを加えるわけね。このニッケルイオンと還元剤が混ざっている溶液は、そのままでは何も変化しないけれど、触媒になる鉄とかを加えると、還元剤が酸化をはじめて、その時電子が放出される。これとニッケルイオンがくっついてめっきができる、とこういうわけだ。

「そうですけど、本当に分かりました?(笑)」

まぁ……だいたい(笑)。……それで、今度は析出したニッケルが触媒の働きをするの?

「そうです。次亜りん酸の場合には、鉄のほかに、ニッケル・パラジウム・亜鉛などが触媒になります。溶液中から析出される金属が触媒の役割を果たし続けるので、自己触媒めっきと呼ぶんですよ」

なにか手品みたいな話しだなぁ。めっきって、化学(ばけがく)のいろいろな原理を、柔軟に使いこなしているということですな。中・高校生の時にもっと化学を勉強しとけばよかった。

 

企画・執筆/毛賀澤明宏