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硬いめっきの、やわらかなお話

【第30回】硬いめっきの、やわらかなお話 その2

硬いめっきのスペシャリスト児玉主任

河合課長に加えて、開発課の児玉竜主任にも登場いただきレクチャーを受けた。児玉さんは前回チラリと紹介した硬いめっきのスペシャリストだ。格好良いのは名前だけじゃなく、黒のタートルが似合うクールな男前である。 

量産されているめっきの中で、最も硬くて耐摩耗性に優れるのは、硬質クロムめっきだ。すでに読者にもお馴染みのHV(ビッカース硬さ)700~1000にもなり、主にピストンやシリンダー、レール部品などに使われている。どんなに硬いか、他のめっきと比べると分かりやすい。当欄でも取り上げた硬質アルマイトがHV400、銀めっきがHV80、金めっきがHV70、すずめっきに至ってはHV10だという。硬質クロムめっきは、ブリキのオモチャの100倍硬いということだ。

そんな硬いめっきのエースは、一般的にサージェント浴の製品が多い。サン工業では、さらに硬いフッ化浴、HEEF浴にも対応している。○○浴と△△浴の違いは、添加剤の違いとのことだが、難しいことは説明できないから割愛する。書いている本人は、草津と箱根と別府の違いみたいだと、いい加減に解釈している。河合さん、児玉さんごめんなさい。

エースの座こそ硬質クロムめっきに譲るが、無電解ニッケルめっきもスーパーサブ的な存在だ。読んで字のごとく電気を使わないめっきのことで、ならばどうやって表面処理するかと言えば、化学反応で得るエネルギーを使う。のだそうだ。含ませる元素の違いにより、無電解ニッケルホウ素めっき、無電解ニッケルリン−ホウ素めっき、無電解ニッケルリンめっきがある。このうち無電解ニッケルホウ素めっきがいちばん硬くて、HV700、これに熱処理を加えてやると、さらにHV1000ほどになる。

そこまで硬くなるなら、控えに甘んじることはないのにと思うが、硬質クロムめっきとの間でちゃんと役割分担ができている。硬質クロムめっきの良いところは、硬いだけでなく、その滑りやすさだ。だから、機械装置などの内部で擦れる部品等にうってつけである。片や無電解ニッケルめっきは、電気めっきと違って処理膜が均一に着くという利点がある。だから、寸法精度が厳しい部品に向く。また、熱処理前でも相当の硬さがあることから、熱に弱く、電気めっきが難しいアルミには最適だし、アルミへのめっきでより硬度を求めるなら、無電解めっきを施した後、さらに硬質クロムめっきで処理する方法もある。

サン工業では、硬質クロムめっきで3種類の浴を持ち幅広い製品に対応しているし、無電解ニッケルめっきもお手のものだ。でも、世の中には「もっと硬いもの、もっと耐摩耗性が良いもの」を望む声がある。まさに「Yes, I can ! 」の腕の見せどころだ。そんなわけで次回は、今最もホットな技術のひとつ、ナノダイヤ複合硬質クロムめっきのお話です。

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