ページトップへ

開発課ってどんなとこ?

【第36回】「メモ魔の宮川さん」

 開発課のメンバー紹介、2人目は宮川恵実さんです。サン工業に入社後、品証で1年液分析の仕事をして開発課に移り6年になる。この間の仕事で思い入れのあるものの一つが、スポーツ自転車用電動変速機の部品に施した無電解ニッケルホウ素めっきだ。同僚の児玉さんの試作を引き継いで、薬品メーカーや社内の液分析スタッフと情報をやりとりしながら量産移管にこぎ着けた。

 そんな宮川さんを河合課長は「自分が納得するまでやりきるタイプ。うちの課でいちばんの努力家です」と評する。めっき技能士検定は長野県内2位の成績で取得した。月一の社内研修や週一の社員向け英会話講座にも積極的に参加する。

 今、彼女がメインで試作に取り組むのが銀めっきだ。前にも書いたけど、銀はとても電導性がよく、接点等に使うのにこれ以上の素材はない。とりわけ電気自動車やハイブリットカーのコネクターのように、大きな電気を流す部品にはもってこいだ。ただ銀は柔らかい。当然お客さんはリクエストする。「硬いのないの?」。

 硬質銀めっきに需要はある。ただ研究する会社が少ないのは、やはり技術的課題が存在するから。「銀は他の金属を入れると硬さを出すのですが、これが入っていることで電導性も落ちてしまうのです」と宮川さんが教えてくれる。なんたる矛盾。こいつの原子番号が、イチローの背番号と同じだなんて納得いかん。それはさておき、宮川さんのテーマは、現状に変わる金属を探すことだ。

 お任せあれ。上司も認める粘り強さの他に、宮川さんにはもう一つ武器がある。開発課に来てからずっと書きためている「試作ノート」だ。ホームセンターでまとめ買いするというB5ノートには、実験データや社内外の人とのやりとりなどがぎっしり詰まっている。回りは彼女を「メモ魔」と畏れ、「持ってるデータ量は半端ない」と舌を巻く。

 「でも私、飽きっぽいところがあって。楽器が好きで、ケーナとか尺八とか三線とか、始めてはみるんですけど続かないんです」。あれれ。自分が納得するまでやりきるんじゃなかったの?いや焦ってはいけない。自分に向かなかったものはすっぱり手を引く、その潔さと合理性も彼女の魅力である。「開発課にいるといろんなことを試せる」と本人も話すように、一つのテーマにアプローチの仕方を変えながら挑み続けるのが宮川さんであり、その足跡がノートの山なのだ。きっと他所にない銀めっき技術を確立してくれるだろう。

 自動車部品でもそれ以外でも、硬質銀めっきの御用命はサン工業宮川まで。