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技術相談室

ニッケルめっきの種類って?~その②~

   前回までは、ニッケルめっきの種類はかなりあり、それぞれの用途によって使い分けることを説明させていただきましたが、今回はそれぞれのめっき浴の種類を紹介したいと思います。

 まずは、無光沢ニッケルめっきですが、これは光沢剤、応力除去剤など添加剤が入っていないめっきです。液の組成として、工業用にはワット浴とスルファミン酸浴が多く使用されています。それぞれの浴に特徴はありますが、一般的に皆様がお目にするニッケルはほとんどがワット浴ではないでしょうか。ワット浴は、1915年にO.P.Watts氏により考案された電解ニッケルめっき液のことで、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸から成り立っています。また、スルファミン酸浴はスルファミン酸ニッケル、ホウ酸、塩化ニッケル(または臭化ニッケル)が基本成分で、ワット浴よりも柔軟性に優れていて、高い電流密度を使用でき、内部応力も少ないのが特徴です。(その分液コストも高いですが・・・)

 無光沢ニッケルめっき浴は、これらベースの成分のみでめっきすることが多く、その名の通り光沢はありません。光沢剤などを使用していないため、レベリング性は低いですが、純ニッケルに近いのが特徴です。純ニッケルに近いのと、後ほど後述しますが応力緩和剤の硫黄を含まないため、電子部品に使用されることがあります。 「展開剤を使用していないの?じゃあ簡単じゃん」って言いたいところなのですが、実は管理はとても大変なのです。濃度変化、pH変化、不純物に敏感で、外観不良やピット、ザラなどが発生しやすいのが特徴です。

 光沢ニッケルめっき浴は、ベース成分の液に光沢剤、応力除去剤、ピット防止剤などを入れたものです。光沢剤にはブチンジオールなどのレベリング剤、応力除去剤としてサッカリンなどが使用されます。めっき業界では、応力除去剤などを1次光沢剤、レベリング剤を2次光沢剤ということが多いです。一般的に皆様がみるニッケルめっきはほとんどがこれらの浴で作られた光沢ニッケルめっき液だと思います。ピカピカで硬く比較的簡単に処理できる光沢ニッケルめっきですが、サッカリンなどを硫黄系の物質を含むため、めっき膜の中に硫黄が極微量含まれてしまいます。めっき膜に硫黄が含まれると、含まれないめっきよりも腐食しやすくなってしまいます(めっきでは、電位が卑になるといいます)。

 半光沢ニッケルめっきは、硫黄を含まないレベリング作用がある添加剤を使用します。光沢ニッケルほどはピカピカではありませんが、硫黄を含まないので、光沢ニッケルめっきよりも電位が貴になります。このため、光沢ニッケルと半光沢ニッケルを組み合わせることで、電位の差を利用して、耐食性を上げるダブルニッケルという処理が自動車部品や機械部品、装飾部品に広く採用されています。また、硫黄を含まないため、はんだ付け製品にも採用されることが多い処理です。