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金めっきの煌びやかなお話

【第44回】金めっきのお話 その4

 金めっきシリーズ最終回となる今回は、その使われ方を紹介します。早速、開発課の河合課長と児玉さんに質問すると、 「そうですね。アルミニウムダイカストに半田付け性向上のため金めっきしたものとか」 「と言いますと?」 「光学向けです。具体的にどんな製品かは言えません」

 お客様との間に守秘義務があるのだから仕方ない。地金にアルミダイカストを使うのは、コストの低さと熱伝導の高さ部品としての軽さが必要だったからだ。これに金めっきを施せば、電導性がよくなったりするのだろう。このめっきのポイントは、サン工業がアルミの前処理と金めっきの両方を一緒にやる数少ない表面処理メーカーであることだ。

「他にはどうですか。話しても大丈夫なものってありますか」

「石油掘削機に使われる電子部品には、3ミクロンの厚付純金めっきをしました」。なんとも豪勢な話が出てきた。「人工衛星の部品にも使われていますね」。宇宙へも旅立ったのか。どちらも長寿命・高信頼性が求められる環境において、サン工業の金めっきが選ばれたことがポイントである。

 製品例はまだまだある。半導体検査用関連部品への金めっきとか、サーバ用ハードディスクドライブ部品への金めっきとか。前者はとても細かな部品だ。後者の製品のピーク時の月産は700万個だったらしい。電子部品以外にもある。たとえば楽器のフルート。国内メジャーメーカーのフルートの製品にも、サン工業の金めっき技術が貢献している。他に自動車や住宅設備で使われる燃料電池の電極材にも金めっきしているそうだ。よしよし。今どきの話題も出てきたぞ。

 「もっとあるんでしょう?」。節操なく欲しがるのは素人の悪い癖だ。けれど、先生役2人の口は重くなる。僕の向かいに座る河合さんと児玉さんは、互いにノートPCの画面を見合いながら、「あれどうですか」「それ言えるのかな」「これはまずいですよ」と話し合っている。そして、話してはならないものについては、決して口を割らない。  今日河合課長は、「金めっきといえば児玉ですから」と言っていたが、児玉さんには「硬いめっきのスペシャリスト」という異名もあった。そうか児玉さんは口も固いのか。そしてその上司も言わずもがな。そういえば、こんな狂歌だか川柳だかがあった。

 語るなと人に語ればその人もまた語るなと語る世の中  「内緒だけど」と言って内緒のままでいることは、古今東西あったためしがない。沈黙は金なのである。2人がようやく話してくれたのは、「ある特殊素材に金めっきしたのがもうすぐデビューしますよ」との情報だった。読者の皆様も乞うご期待。

 何はともあれ、機密なものもそうでないものも、金めっきの御用命はサン工業まで。