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開発課ってどんなとこ?

【第39回】「10年分のひきだし~児玉主任①」

河合課長が「開発課のリーサルウェポンですから」と送り出してくれたのが、主任の児玉竜さんである。当コーナーで以前「ナノダイヤ複合めっき」を紹介した折、硬いめっきのスペシャリストとしてご登場願った。開発課では河合課長に次ぐ10年のキャリアの持ち主だ。ゆえに課長の言葉も決して大げさではない。 賢明な読者はご推察の通り、開発課とは地味で地道で辛抱のいる職場である。「結果が出ずに、悔しい思いをしたことの方が多いですよ」。児玉さんが開発課に配属された当初に担当した電子部品の端子向けの純スズめっきも、たいへんな仕事だった。

ちょうどRoHS指令が出たころ、そのお客様から鉛めっきをスズめっきに置き換えたいとの依頼をいただいた。当時のスズめっきは、銅や銀ビスマスとの合金が主流だったが、仕上がりや後工程との兼ね合い、コストの問題等で純スズにしたいという。それだけなら開発のハードルは高くなかった。問題はもう一つのリクエスト。純スズめっきでは出せない光沢を表面処理後の製品に欲しいというのだ。製品が基板にはんだ着けされれば見えない部分だが、お客様にとっては譲れないこだわりだった。

光沢剤を入れるしかない。ただし、これが入るとはんだの濡れ性が悪くなり、製品にうまくめっきがつかない可能性がある。児玉さんは、光沢もあって濡れ性もいい液を見つけ出し試作に臨んだ。

開発をしている児玉主任   電子顕微鏡で解析し、品質をデータで確認する。

開発課の大きな仕事は、量産化しても安定した品質が確保できるよう、きちんとした条件出しをすることだ。その技術の管理方法を確立して、量産移管後の工程を担う製造課や品証課に確実にバトンタッチする責任がある。たまたまできたではお話にならないし、どれほど立派な技術が完成しても、管理が難しすぎたり、コストが掛かりすぎたりしては量産に移れない。だから開発課の面々は、「温度、濃度、時間」と呪文のように繰り返しながら、実験、試作を繰り返す。

児玉さんもそう。当時開発課長だった榎堀さんから教わった光沢剤入りの酸性亜鉛めっきの管理手法を参考にしながら、なんとかその製品を量産できるレベルまでもっていった。「でも、最後まで光沢剤成分の濃度管理のポイントが掴めなかったんです。量産後もある日突然不具合が起きて、たびたび現場から呼び出されました。ひとたび液の条件が悪くなると元に戻すのが大変で、もう迷路に入り込んだ気分でした」。

それでも、うまくいくものもそうでないものも、いろんな処理をいじっておくことで、管理手法の勘どころが分かってくる、自分のひきだしが増えていくと児玉さんは言う。

どうしよう。まだまだ彼の話しが聞きたい。だから次回も主任のひきだしを覗いてみます。

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