サン工業株式会社

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【第20回】アルマイトって何だろう その2

  • アルマイトってなに?

硬質アルマイトの特性は、硬く、硬いから傷がつきにくく、すべり性がよく、減らないことにある。そもそも普通のアルマイト自体が硬く、すべり性がよく、減らない。硬質アルマイトは、アルマイトの機能面における性質を通常より格段に高めたというわけ。開発の榎堀さん、これをたとえて言うに「ふつうのアルマイトがザクなら、硬質アルマイトはシャー専用ザクでしょうか」。なるほど。分かった気がする。

では、どうしたらザクはシャー専用になるのか。もとい。硬質アルマイトはできるのか。「めっきでもそうですが、アルマイトも基本は温度、濃度、時間です」榎堀さんは、「温度、濃度、時間。温度、濃度、時間」と呪文のように唱え出す。この3要素が肝なのだ。「たとえば、処理条件のうち液の温度を下げるとアルマイトは硬くなります。同じ硫酸で処理するアルマイトでも、硬さを求めない装飾アルマイトは20℃くらいで処理しますが、硬質アルマイトは0℃かそれ以上温度を下げます」。ほかにも、液の濃度を上げたり、電気を流す時間が長くなれば、酸化アルミニウムの膜が厚くなり、アルマイトは硬くなる。

さて、アルマイト処理には、液の違いにより硫酸アルマイトとシュウ酸アルマイトの2種類がある。アルマイトといって僕がまず思い浮かべた薬缶は、シュウ酸アルマイトだ。一般に装飾アルマイトは硫酸アルマイトのみ。硬質アルマイトはどちらも使う。 使う薬品が違えば処理条件も変わってくる。同程度の硬さのアルマイトにするために、シュウ酸なら25℃程度で処理できるものも、硫酸だと液の温度を0℃くらいまで下げる。このため液を冷却するための装置は硫酸の方が高くつくが、液自体のコストは硫酸にメリットがある。また、詳しくは次回以降で紹介するが、電気のかけ方も硫酸アルマイトとシュウ酸アルマイトでは違い、この装置はシュウ酸の方がたいへん高価だ。総じて、シュウ酸アルマイトの方が、硫酸アルマイトよりややコストは増すのだそうだ。

もちろんサン工業では、どちらの硬質アルマイトも可能だ。お客様の使用目的やコスト等に応じて、硫酸アルマイトもシュウ酸アルマイトも選択できる。ここでもやはりYes, I can ! を貫いている。加えてより硬く付加価値の高い硬質アルマイトを生むための研究にも余念がない。「硬質アルマイトがシャー専用ザクなら、私たちがチャレンジしているのは、さらに機能を高めたいわばゲルググでしょうか」ちゃめっけたっぷりに話すが、僕の脳裏にはこのとき、「温度、濃度、時間」と呪文のようにくり返しながら、試行錯誤を繰り返す榎堀さんや他の社員さんたちの真剣な顔が浮かんでいた。

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