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金めっきの煌びやかなお話

【第42回】金めっきのお話 その2

今回は金めっきの種類についてお届けします。先生は開発課の児玉さん。「めっき方法の違いは次回にして、今日は純金めっきと硬質金めっきについてお話します」

金めっきには、はんだ付け性(濡れ性とも)やボンディング性がよいという性質があるので、接合する際の信頼性が高い。サン工業では、人工衛星の部品や電子部品などに使われる純金めっきを手がけている。ただし、金は柔らかい金属だ。耐摩耗性が要求されるピンコネクターやプローブなどでは、従来の純金めっきは使えない。そこで硬質金めっきの登場と相成る。前にもチラリと触れたが、他の金属と合金にして硬くするのだ。

硬質金めっきは、金—コバルト合金めっき、金—ニッケル合金めっきの2種類が一般的だ。純金めっきの硬さが、HV60~80だとすると、いま挙げた2種類はそれぞれHV120~200、HV120~220ほどとなる。硬いぞ!合金めっき。これなら利用範囲もずいぶん広がる。

かつて硬質金めっきといえば、金—コバルト合金めっきだった。しかし、環境基準の厳しいヨーロッパで、コバルトの有害性が問題視され、その代替として金—ニッケル合金めっきが登場したという。サン工業でも、お客様の要望に合わせて、金—ニッケル合金めっきで対応している。

ところで、電気伝導性のよさでは金より銀が勝るのに、なぜ金めっきがあるのだろう。「それは、銀の表面に酸化膜や硫化膜ができやすいからです」と児玉さん。つまり、膜ができてしまったら、その分電気伝導性が落ちてしまうらしい。その点、金は酸化しにくいという特性を持つ。電気伝導性を極力下げたくなくて、しかも硬いめっきがほしいとき、硬質金めっきはとても有用だ。そして、硬くしたいけれどコバルトやニッケルを入れたくない時は、金ー銀合金めっき(HV120~140)もあるそうだ。銀を入れることで、少しでも電気伝導性を上げることができるらしい。(*サン工業では硬質銀めっきも手がけている)。

サン工業が扱う硬質金めっきにはもう一つある。硬質純金めっき(HV120~170)である。金の結晶を緻密につけることで硬くする技術らしい。ほう。そんなこともできるのか。ところで「純金めっきと合金による硬質金めっきとでは、お値段がかなり違うんですか」。何とも俗な質問に我ながら呆れるが、児玉さんは優しく答えてくれる。「合金といっても、他の金属はほんのわずか入っているだけです。金—コバルト合金めっきなら0.1~0.3%ですから、純金めっきとほとんど変わりません」

そんなわずかな量で金属の性質って変わるのか。やはり素人丸出しで感心していると、「違ってくるのはむしろ色ですね。金—コバルトは山吹色、金—ニッケルなら白っぽく、金—銀はグリーンがかっています。金と銅の合金がピンクゴールドと呼ばれるのはご存知ですよね」。はい存じております。ただ不肖な生徒の頭の中は、山吹色のお菓子を挟んで、悪代官と越後屋が悪巧みをしている絵なのであった。