サン工業株式会社

サン工業訪問記一覧

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そんな気持ちから生まれたサン工業訪問記です。

【第25回】アルマイトって何だろう その7

  • アルマイトってなに?

アルマイトでもめっきでも、できたものは品質評価をする。当たり前だけど大事なことだ。アルマイトの場合、何を評価するのか。膜厚と硬さである。膜が薄すぎるとすぐに減ってしまってアルマイト加工した意味がないから、ある程度の厚さはほしい。ただ、厚すぎると寸法の精度に影響が出るし、表面のクラックが大きくなって硬さが減じてしまう。「硬さと厚さは、ある意味トレードオフの関係にあります」と榎堀さんは言う。

硬質アルマイトを極限まで硬くしようと思ったら、薄い膜を短時間でつけるのだそうだ。極限とは、前にも出てきたヴィッカース硬さで500に迫る。これはもうニッケルめっき並みの硬さが。ちなみに、もとのアルミがヴィッカース硬さ80、普通アルマイトが200~250、一般的な硬質アルマイトが400である。

さて、ヴィッカース硬さを測る最新の機械を見せてもらった。先端がピラミッド状のダイアモンドの針を試料に押しつけ、試料が押し込まれた面積で硬さを評価する。押しつける強さは膜厚によってグラム単位で変える。あまり大きな力で押しつけると、測定器の針は皮膜を越えもとのアルミニウムに達し、何の硬さを測っているか分からなくなるからだ。

最新の設備を使うとはいえ、硬さを測るだけでも、他にも難儀なことはある。品質評価とは地道な作業だ。しかし、温度、濃度、時間の条件がどんな組み合わせのとき、膜厚や硬さがどの程度になるか、どれだけ細かくデータを裏付けられるかが、表面処理の付加価値となる。サン工業の強みはそこにこそある。

榎堀さんが普段を仕事をしている開発課の隣には、「表面解析室」という部屋がある。ここにいる限り、この会社がめっき屋さんだとは思わない。誰か白衣を着て働いていたら、まるで病院やらどこやらの検査技師さんだ。揃っている設備がすごい。まず走査型電子顕微鏡である。これを使うと、アルマイト表面に汚れがあった場合、それがどんな元素に由来するか分析できるそうだ。グロー放電発光分析装置なんていうゴツい名前の、しかもお値段もたいそうゴツい機械もある。めっき屋さんでこれを導入している会社は他にないと言う。アルゴンビームを使って試料の断面を見る装置というのも、相当なお値段なのだとか。他にもあれやこれや。

言ってしまえばこの部屋の装置は、生産には直接関与しない。お金を生み出さない。けれど経営は、こうした検査、評価設備への投資を惜しまない。品質評価の正確さが、試作の成功や量産における不良解析で大きな鍵を握るからであり、お客様が求める仕様にジャストミートする製品を確たる裏付けをもって提供できるからだ。サン工業が胸を張って言う「Yes, I can ! 」の裏には、緻密な条件管理があり、さらにその条件管理はこうした地道な品質管理に支えられているのである。

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