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銀めっきの秘密

【第45回】銀めっきの秘密 その1

 「金の次は銀でしょ」と勢い込んで、今回から銀めっきのお話。安易な振りだと思った皆様ご心配なく。これまた話題の宝庫なのだ。お話いただくのは、お馴染み河合開発課長と銀めっきのスペシャリスト宮川恵実さんです。

 まず銀と聞いて何をイメージするだろう。すぐに思い浮かぶのが宝飾品、今どきの人ならデオドラント、抗菌繊維、ちょっと年配だったりすると銀食器や写真フィルム、象徴的な意味で月(moon)を思う人もいるかもしれない。

 銀めっきするからには、その特性を生かすわけだ。何はさておき銀の性質についてレクチャーを受ける。宮川さん曰く。「電気伝導性と熱電導性は金属の中でいちばんで、銀、銅、金、アルミの順です。反射率も高いです。さらに、潤滑性、抗菌性に優れています」。

 電気伝導性がよく抵抗率も低いから電線にはもってこいだ。ただ希少金属ゆえお値段も張る。だから一般的には銅線が使われ、銀線は大きな電流を流すなど特殊な場合に限られる。反射率の高さを買われ、LEDのリフレクターなどにも銀めっきが使われる。潤滑性を活かしてネジのかじり防止に銀めっきすることもある。抗菌性と聞けば、銀イオン配合製品を愛用する方は大いにうなずくところだろう。

 さて、宮川さんが銀めっきのスペシャリストたる所以は、その硬さを操って自在なところにある。銀は、純銀のままだと軟らかく、表面は梨地のようで光沢はあまりない。「でもそこへ他の金属を加えることで硬くなり光沢も増します。金めっきでは硬さへのニーズは少ないですが、銀めっきだと硬さにこだわるお客様が多くいます。ニーズがあって、こちらが手をかけてやれば結果が出る。だから銀めっきは面白いんです」。

 銀の潤滑性(シール性)を発揮させるなら、軟らかい銀めっきがいい。一方、電気部品の接続端子など抜き差しが頻繁だったり、リフレクターのように輝きが欲しかったりしたら、硬く光輝性のあるめっきがいい。宮川さんは、お客様の要望に合わせ、最適な硬さや光沢を産み出す。めっき層の陽極に置くのは純銀の板なのだが、液の中に銀以外のいわゆる混ぜものが入っている。彼女は絶妙なさじ加減で液中の混ぜものの量を操る。その手際、無菌室育ちのお嬢様とハナタレの悪ガキを同じクラスの中でまとめ上げる教師のようだ。

 宮川さんは言う。「光沢と硬さは比例し、見た目がギランギランになると硬くなります。光りもののめっきって、やっぱりテンション上がりますね」。それを上司である河合さんも認め、「銀めっきの話になると、彼女目の輝きが違いますよ」と教えてくれるが、宮川さんのうれしそうな顔は先刻からずっとだ。もはや銀めっきマニアである。

 ところで、銀めっきは電気自動車の接続部品など今注目の製品にも多く使われているとか。新しい市場で挑戦しようとする皆様、銀めっきの御用命はスペシャリスト宮川がいるサン工業まで。