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硬いめっきの、やわらかなお話

【第29回】硬いめっきの、やわらかなお話 その1

「サン工業訪問記」シーズンⅡの連載は、アルマイトからバトンタッチして硬いめっきのお話へ。案内役もバトンタッチして、今回は開発課課長の河合陽賢さんです。「このコーナーのよさは、めっき屋目線じゃないざっくばらんさなので」と、聞き手の肩をほぐしてくれる心遣いは、この会社の開発陣に流れるDNAか。河合さんのやさしい笑顔に促され、硬いめっきのお話を、やわらかくお伝えしてゆく所存。

さて、めっきの機能の中でも、硬さや耐摩耗性へのニーズは高い。でも世の設計者のすべてがめっき技術に明るいわけではない。実際、「製品の耐久性をアップさせたい」、「アルミを硬くしたい」など悩みを抱えるお客様が、展示会でサン工業のブースをたまたま訪れ、「めっきで硬くできるんだ」と気づかれることもあるのだとか。

 

硬いめっきの案内役「開発課課長河合さん(左)

だから、硬いめっきは河合さんたち開発部の中でも重要なテーマの一つだ。「こんな方法を使えば、こんなに硬くなりますよ」という技術提案を日々お客様にしている。開発課のメンバーは6人。平均年齢は20歳代後半とフレッシュだ。しかし、歳は若くとも皆「Yes, I can ! 」魂は熱い。硬いめっきのスペシャリスト児玉さんもその一人。彼が生んだ「ナノダイヤ複合硬質クロム」は、サン工業オリジナルの表面処理で、硬質クロムめっきのさらに上をいく硬さと耐摩耗性を備えているらしい。このお話も追々する予定。

アルマイトの話でも触れたが、サン工業の開発課の隣には表面解析室というのがあって、普通の会社なら県の工業試験場等へ行かないとできない検査もすぐにできる。製品の分析を時を置かず自らできて、自分たちのデータを持てることは、サン工業の強みの一つだ。データの蓄積は、管理技術の高さを裏付ける。それにフィードバックの速さは、市場への製品投入のスピードを要求されるお客様にとっても大きなメリットになる。

さらに同社の強みを挙げるなら、解析室と同様に実験室のすぐ隣に試作ラインがあることだ。ビーカーの中で掴んだ手応えを、実際の製造工程と同じ条件で速やかに確認できるからだ。ビーカースケールでは間に合わない量や大きさにも対応できるから、試作以上量産未満というニーズにもばっちり応えられる。

こんな環境の中で、河合さんたち開発課のメンバーは、「それってめっきでできるんですよ」というシーズを提供している。たとえば硬い銀めっき。銀は金属の中で最も電気伝導率が良い。だから接点などに使われる。ただ柔らかいのが難点で、普通の銀めっきはHV(ビッカース硬さ)60~70程度だ。ところがサン工業ではHV180~190と、通常の3倍も硬い銀めっきができるのだという。

それでは次回から、本格的に硬いめっきのお話の始めます。乞うご期待。

すぐに検査ができる表面解析室   開発実験室。隣には試作ラインが並ぶ