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カニボロン、カニフロン???―特殊無電解めっき

【第16回】カニボロン、カニフロン……どういうめっきカニ?

カニボロンで処理した小さな球

カニボロンで処理した小さな球

 

シリーズ第4段は、サン工業が行なう特殊な無電解めっきについて紹介してもらいます。皮膜を硬くしたり、すべり性や耐磨耗性を高めたりするために、非常に注目されているめっき・表面処理の技術だそうです。その一例が、カニボロンとかカニフロンだとか……。

う~ん、でも、カニボロンとか、カニフロンとか、いったに何なの? カニ(蟹)と何か関係しているの? めっきの専門家でないとなんか良く分からないよね。

そこで、またまた、今回も開発課の河合陽賢(アキマサ)さんに聞きました。河合さ~ん! 

「皆さん、こんにちは。河合です。今回のシリーズは当社で行なっている特殊無電解めっきの様々なバリエーションをご紹介します。分からないことは何でも聞いて下さい!」

ありがとう。でも、今回は、分からないことばかりなんだけど……。

「珍しく、謙虚ですねぇ(笑)」

え?いつもそうでしょ(笑)、それで、どこから聞こうかな?……う~ん、そうそう、前回のシリーズでは、めっきといっても電気を使わない「無電解めっき」というのがあり、原理的には「置換めっき」とか「自己触媒めっき」と呼ばれる方式の応用だということでしたよね。そしてサン工業は、この無電解めっきが得意で、量産ラインで日本ものづくり大賞をもらった、と……

「そうですよ。良く覚えているじゃないですか」(笑)

河合さんの教え方が上手だったからね(笑)……それで、今日は、「特殊な無電解めっき」ということなんだけど、まず、それって、どういうものがあるの? そしてどういう点が特殊なの?

「当社で、試作だけではなく量産対応できる特殊無電解めっきは、
無電解Ni・P・B(ニッケル・リン・ホウ素)めっき、つまりカニボロン
高性能の無電解Ni・B(ニッケル・ホウ素)めっき、
テフロンを複合させたPTFE複合無電解Niめっき―これがカニフロン、そして
今注目を集めている黒色無電解Niめっき
――などがあります。

あと、高リン無電解ニッケルめっきとか、低リン無電解ニッケルめっきとか、色々あります。溶液中に、特殊な配合で特殊な物質を混ぜ込むことで、それぞれ独特の加工特性を引き出しているという意味で、特殊なめっきと呼んで良いと思います」

ふ~ん……、今いくつか紹介してくれた特殊なめっきについてはこれから順次聞いて行くことにします。でもその前にね、「カニボロン」とか「カニフロン」とかと言うでしょ。なんであんなふうに言うのカニ?

「寒っ、なんかと~っても親父ギャグじゃありませんか?」

え?……こりゃ失礼しました。でも、何かどうも、コミカルというか、笑っちゃうというか……素人だからだと思うけど、ズワイガニの甲羅から取れるキトサンのような物を混ぜ込むのかなぁなんて感じちゃって、めっきのイメージと少し違うんだよね……

「カニの甲羅入りめっきというのはまだないですよ(笑)。カニボロンとかカニフロンとかは商品名なんです。そこで使われる『カニ』というのは、じつは『日本カニゼン』さんというめっき資材メーカーさんの社名から取ったものなのです。もともと無電解ニッケルめっきは米国の技術だったんですが、それを日本ではカニゼンさんが買った。そんな経緯があるので、無電解ニッケルめっきを『カニゼン』と呼ぶ風習ができたんですね。その『カニゼン』に色々混ぜてめっきするから、そのための資材―溶液のことですが―を、『カニボロン』とか『カニフロン』と呼ぶんですよ」

へぇ~、当然のことかもしれないけれど、業界には業界の歴史があるんだねぇ。

 

企画・執筆/毛賀澤明宏