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こんなことができるんだ!分析装置

こんなことができるんだ! 分析装置 その1

 今号から新シリーズに入ります。取り上げるのは、開発課隣の表面解析室に鎮座する個性豊かな面々。サン工業が誇る分析装置たちである。これまで、同社が高度な分析装置を有することの意義について時折触れてはきたが、個々の装置に何ができるのか詳しく説明してこなかった。そこで彼らに順次登場願い、その得意技を紹介しようという趣向である。  

 先鋒を務めてもらうは、SEMこと走査型電子顕微鏡だ。表面解析室の装置を将棋の駒にたとえるなら、飛車か角に匹敵する重要な存在である。

 SEMに何ができるか。詰まるところ肉眼では見えないものが見える。言うは易いが、見えることの価値を軽んじてはいけない。SEMは1万倍まで拡大できる。太さおよそ70ミクロンの毛髪でキューティクルが見えるのが800倍程度だ。1万倍まで拡大するとカーボンナノチューブの1本1本さえ確認できてしまう。

 あるめっき製品に不良が見つかったとしよう。目視では原因が分からない。だがSEMはそれを暴き出す。めっきの処理がいけなかったのか。お客様から支給された素材に何らかの問題があったのか。必要とあらば製品の断面の様子も白日の下にする。

 拡大してモノが見えるだけでなく、SEMなら試料の組成分析も可能だ。素材が銅のはずなのに銀色の異物があった。SEMで調べてみたら鉄が検出された。もしかしたら素材をプレス加工するとき、混入してしまったのではないか。

 こんなふうに、SEMがあれば不良の原因にアプローチする手がかりを得られる。それも社内で、数時間のうちに。お客様からクレームをいただいても、詳細な分析結果を添えて説明できるから説得力がある。自責であっても、あるいはお客様の側に万一原因があったとしても、改善策をすぐに講じたり提案したりできる。SEMがなければ県の工業試験場に出向かなければならず、結果を受け取るまでに1カ月を要する。あなたが発注者ならどちらのめっき屋を選ぶだろう。そう、PDCAの早さは、サン工業へ寄せられる信頼の大きな理由のひとつなのだ。

 ただし、大きな投資をしてSEMを導入しても事足りない。いくら拡大できるからといって、見るべきものを見なければ意味がない。見たい情報が何であるか分かっている人間が、見るべきものを見て、データから読み取るべきものを読み、分析する。使い手にその能力がないと、不良の原因が分かっても正確に対処できない。こういう人材の育成に力を入れているのも、実はサン工業の強みなのである。