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こんなことができるんだ!分析装置

こんなことができるんだ!分析装置 その4
皮膜中の元素を調べる「グロー放電発光分光分析装置」!

 表面解析室のスターたちを紹介する今シリーズ。前回までのSEM、キンケン、膜厚計に続き、満塁の好機に満を持して打席に入る4番バッター、その名をGD-OESという。Glow discharge optical emission spectrometry の頭文字を取った。日本語での表記は、グロー放電発光分光分析装置。なんとも厳めしい。相手ピッチャーはもう怖じ気づいている。しかもこの装置、跳ね馬をエンブレムにするイタリアンスポーツカーと同等の価格がするとか。それを知ってピッチャーの膝が震え出す。勝負の行方はすでに見えた。

 さてこの装置で何を計るか。めっき皮膜中の元素の分布を調べるのだ。装置の中に入れた試料にアルゴン原子をぶつけ「グロー放電」を起こさせる。すると、衝撃で試料の中の元素が「発光」する。その光をプリズムを使って「分光」し「分析」する。元素が出す光の周波数は各々違うから、この手法で試料中にどの元素がどれだけ入っているか分かる。分光による選り分けられる元素は、この装置の場合46種類だという。すごい。 

 試料に半径2㎜ないし4㎜の穴を開ける破壊検査だが、アルゴンを何度もあてながら、その半径分垂直に、あたかもスコップで地層を掘り進むみたいに、試料の層の状況を順次確認できる。アルゴンを1回ぶつけたときに見ることができる層の厚さは5ナノメートル(0.005ミクロン)。だからめっき層が幾つあっても、各々の層の表面ごとに状況を把握できるのが強みだ。不良の原因は、素材と1層目のめっきの間に紛れ込んだ物質か、あるいは2層目のめっきと3層目の境目のよごれなのか判断できる。

 同様の検査をしようとした時、分析時間が短い点も良い。GD-OESだと数ミクロン「掘る」のに数分で済む。この装置よりさらにピンポイントで層を掘り進めながら検査できるXPS(ESCA)という装置もあるが、これらだと同じ作業をするのに数時間掛かる。しかもXPSはGD-OESに増して高額だ。これでは、分析のハードルが高くなり、サン工業のフットワークの軽さ、レスポンスの良さが活かせない。だから同社はGD-OESを選んだ。

 他の検査装置のところでも触れたが、自社にGD-OESを持ち製品を分析できることで、お客様から寄せられた疑問に対し、サン工業は明確なエビデンスを付けて速やかにお答えできる。例えばある製品で不具合が見つかったとき、膜厚計、SEMと順に使って、原因元素を絞り込んでいき、最後にGD-OESでトドメを差す。さすが4番バッターの仕事振りである。